最近こんなことはありませんか?
- 食事中にむせることがある
- 食べこぼしが増えた
- 固い食べ物が食べにくくなった
- 滑舌が悪くなった
これらの症状がある場合、口腔機能が低下している可能性があります。
口腔機能低下症は、早期に発見し適切な処置をすることで、重症化を予防できます。
気になる症状があれば早めに歯科医師に相談してください。
口腔機能低下症とは?
口腔機能低下症とは、加齢や病気、お薬の影響などによって、お口のはたらきが少しずつ低下している状態をいいます。虫歯や歯周病のように痛みで気づくものではなく、「むせやすくなった」「固いものが食べにくい」といった日常のささいな変化として現れます。
噛む力、舌や唇の動き、唾液の量、飲み込む力など、お口のはたらきを検査で数値として確認し、当てはまる項目が一定数を超えると口腔機能低下症と診断されます。
歯を失うことと違い、こちらは低下したはたらきを取り戻せる可能性がある状態です。放っておくと食べられるものが減り、栄養状態や全身の筋力の低下につながっていきますので、気づいた時点で対処することが大切です。
ATVテレビ診察室(院長吉田洋一出演)
口腔機能低下症の主な症状
● 噛む力の低下
噛むときに力が入らず、食べ物をしっかりと噛むことが難しい状態です。食べ物をうまく咀嚼することができないので、消化にも影響を及ぼす場合があります。
● 唾液が減る
唾液は口の中の潤いを保ち、食事の嚥下をスムーズにする役割を果たしています。口腔機能低下症では、唾液の分泌が減少し、口の中が乾燥してしまうことがあります。
● 言葉の発音が難しい
口腔の筋力や舌の運動能力が低下することで、言葉をはっきりと発音することが難しくなります。発音がはっきりしなかったり、言葉のつかえなどが見られることがあります。
● 口腔内に違和感や痛みがある
口腔内の筋肉や関節に問題がある場合、口腔内に違和感や痛みを感じることがあり、食事や会話がしにくくなることもあります。
● 嚥下困難
食べ物や唾液の嚥下が困難な状態です。喉につかえる感覚や窒息感を伴うことがあります。食べにくい状態をそのまま放置すると栄養失調状態となり、さらなる筋力低下を招き、負のスパイラルが生じてしまいます。
これらの症状が口腔機能低下症の主な症状としてあげられますが、個人によって症状の程度や現れ方は異なることがあります。症状が長期間続く場合や日常生活に支障をきたす場合は、早めに歯科医師に相談してください。
口腔機能低下症の原因
● 加齢
年齢を重ねると、口腔内の組織や筋肉の衰えが起こります。歯や歯茎の老化や筋力の低下により、口腔機能が低下することがあります。
● 疾患や病気
一部の疾患や病気が口腔機能低下症の原因となることがあります。例えば、パーキンソン病や脳卒中などの神経系の疾患、口腔内のがんや口腔乾燥症などがあげられます。
● 身体的な損傷や事故
事故やけがによる顎関節の損傷や口腔内の外傷が口腔機能低下症を引き起こす場合があります。例えば、顎の骨折や歯の欠損、口腔内の組織の損傷などが該当します。
● ストレスや精神的な要因
長期間のストレスや精神的な負担は、口腔機能にも影響を及ぼすことがあります。ストレスによる筋緊張や食いしばり、摂食障害などが口腔機能低下症の原因となることがあります。
● 不適切な口腔ケアや不健康な生活習慣
正しい口腔ケアを怠ったり、不健康な生活習慣を続けたりすることで、口腔機能低下症を発症することがあります。例えば、歯磨きなどのケアが行き届いていなかったり、栄養バランスの偏った食事、喫煙、過度なアルコール摂取などが挙げられます。
口腔機能低下症が進行すると
どうなってしまうの?
口腔機能低下症が進行すると、まず噛む力が低下し、食べ物を十分に咀嚼することが難しくなります。噛み応えのある食品が食べられなくなり、柔らかい炭水化物を摂ることが増えます。肉などのタンパク質を摂取しづらくなり、それによって筋力が低下し、体力も衰えていきます。筋肉の衰えによって、日常的な動作に支障が出るため、歩行や階段の上り下りが辛くなり、外出の頻度も減少してしまうのです。
また、言葉の発音が困難になることもあります。舌と口腔の筋肉のコントロールがうまくいかなくなり、はっきりとした発音ができなくなります。その結果、会話やコミュニケーションに支障が生じる可能性があります。
嚥下困難も口腔機能低下症の進行によって現れる問題です。飲み込む動作や嚥下が困難になり、食べ物や唾液が喉に詰まる感覚や窒息感を引き起こすことがあります。
さらには口腔内の健康状態が悪化します。十分な口腔ケアが行えず、虫歯や歯周病のリスクが上昇し、口腔感染症や口臭の発生も増加する可能性があります。
このように、口腔内の健康が悪化すると、全身の健康にも悪影響を及ぼし、日常生活にまで支障をきたす可能性があります。食事や会話に支障をきたすため、行事や活動への参加が困難になってしまう場合もあります。また、口腔機能低下による問題は、自己評価の低下、自信の喪失、孤立感などの心理的な影響をもたらすことがあります。
口腔内の問題は、進行が気づかないうちに起こることもあるため、症状がある人はもちろんですが、早期の診断と適切な治療、ケアの受け取りが重要です。症状のない人でも65歳を過ぎたら定期的な検査を受けて、早めのケアをおすすめします。
口腔機能低下の検査は何をするの?
口腔機能低下を7つの項目で検査し、3つ以上が基準値を下回ると「口腔機能低下症」と診断されます。検査時間は30分程度で、健康保険が適用されます。
① 口腔内の清潔度
舌苔の付着度を見ます。
② ドライマウス
唾液の量を測定し、口腔内の水分量を測定します。
③ 咬合力
残っている歯の数を数えて、噛む力を測定します。
④ 舌口唇の運動機能
「パ」「タ」「カ」の発音で舌と唇の運動機能を測定します。
⑤ 舌圧
舌圧計を用いて舌の力を測定します。
⑥ 咀嚼機能
グミゼリーを噛んだ後、溶解ブドウ糖値を測定し、咀嚼能力を測定します。
⑦ 嚥下機能
問診票に記入していただき、嚥下機能をチェックします。
*老年歯科医学会資料参照
口腔機能低下症を改善するには
正しい食事
栄養バランスの取れた食事は口腔機能の改善に不可欠です。柔らかい食材やスムージーなど、咀嚼が難しい場合でも食べやすい食品を選びましょう。また、栄養補助食品やサプリメントの活用も検討しましょう。
口腔ケア
正しい口腔ケアは口腔機能低下症の改善に欠かせません。歯磨きやうがいを日常的に行い、口内環境を清潔に保ちましょう。また、定期的な歯科検診やクリーニングもお忘れなく。
口腔機能トレーニング
口腔機能低下症の改善には、物理療法が有効です。口の中の筋肉のトレーニングやマッサージ、嚥下リハビリなど、専門家の指導のもとで行うことが重要です。口腔機能低下症に特化したリハビリプログラムを受けることで、口の中の機能を改善させることができます。
舌圧トレーニング
舌圧を鍛える専用の器具を使って、舌の筋力や持久力を鍛えます。
「ペコぱんだ」という専門の器具で舌圧を鍛えます。柔らかいものから始めて、徐々に硬いものでトレーニングすることで舌圧を上げることができます。
舌圧を鍛え、口がポカンとなるのを防ぎ、口呼吸を抑えることができます。
① 口を大きく開けて「あ~」と言います。
② 「い~」と言いながら口を開けます。
③ 「う~」は口をすぼめます。
④ 「べ~」で舌を前に出します。
⑤ ①から4までを1セットとし、これを大きな動きをしながらゆっくり10回ほど繰り返します。
これを1回に10セット程度、30秒程度行いましょう。
エクササイズなので、できるだけ大きく口を動かした方が効果的です。
義歯やインプラントの利用
噛む力や咀嚼機能の低下が目立つ場合は、義歯やインプラントを利用しましょう。義歯やインプラントなどの人工物を使うことで、食事や会話の支障を軽減し、口腔機能の向上を図ることができます。
口腔機能低下症は私たちの生活に大きな影響を与える可能性がありますが、適切なケアと治療を受けることで、その症状を改善することができます。口腔機能の低下にお悩みの方は、早めに当院にご相談ください。
健康な口腔機能を取り戻し、日常生活をより快適に過ごしましょう。
担当する歯科医師について
口腔機能低下症の検査と管理は、理事長・院長の吉田洋一を中心に担当します。
吉田 洋一/日本老年歯科医学会および日本摂食嚥下リハビリテーション学会に所属しています。八戸学院大学 健康医療学部看護学科の非常勤講師を務めています。日本糖尿病協会登録歯科医でもあります。
よくあるご質問
Q. 口腔機能低下症は病気なのですか?
A. はい。加齢や病気、お薬の影響などでお口のはたらきが低下した状態を指す病名です。検査で状態を確認したうえで診断します。
Q. どんな検査をするのですか?
A. 噛む力、舌や唇の動き、舌の力、お口の乾燥、汚れの程度、飲み込む力などを、それぞれ専用の機器や方法で調べます。痛みをともなう検査ではありません。
Q. 保険は使えますか?
A. 当院は必要な施設基準を届け出ており、口腔機能低下症の検査と管理を保険の範囲で行えます。詳しくは施設基準のページをご覧ください。
Q. 何歳から受けたほうがよいですか?
A. 年齢で区切るものではありません。「むせるようになった」「食べこぼしが増えた」「滑舌が気になる」といった変化を感じたら、その時点でご相談ください。
Q. 低下した機能は戻りますか?
A. 歯を失うことと違い、はたらきの低下は訓練や生活の見直しで改善が見込めます。ただし個人差がありますし、早く始めるほど戻りやすいとされています。
Q. 家族が心配なのですが、本人に自覚がありません。
A. ご家族が先に気づかれることも多くあります。食事中のむせや食べこぼし、食べられるものが減ってきたといった様子があれば、一度お連れください。
Q. 通院が難しい場合はどうすればよいですか?
A. ご自宅や施設にうかがう訪問診療も行っています。通院が難しい方はご相談ください。