おやすみポカリ事件から学ぶ虫歯予防
みなさんこんにちは!
青森県八戸市 八戸総合歯科矯正歯科 小児歯科・赤ちゃん歯科担当の歯科医師の成田くみ子です。
<おやすみポカリ事件とは>
2020年5月に大塚製薬が脱水予防のために
「就寝前に子供にポカリスエットを飲ませて脱水予防をする」キャンペーン#おやすみポカリを行いました。
それが歯科関係者の目に留まり、このキャンペーンが子供たちの歯を害するという注意喚起が数多くSNSに投稿され拡散。
そしてキャンペーン開始から2週間ほどで
キャンペーンサイトが削除されました。
こういったキャンペーンが行われるという事実が、歯科関係者からのむし歯予防の正しい知識と情報発信がまだまだ不足していると実感しました。
歯科関係者が「おやすみポカリ」を批判した理由を解説していきたいと思います。
おやすみポカリがむし歯のリスクになる理由①
→ポカリには砂糖がたくさん入っている
ポカリ500mlあたり
約30g 砂糖が含まれています
角砂糖 6個分
脱水予防として含まれているミネラル(塩分)を
飲みやすくするために砂糖が入っています。
おやすみポカリがむし歯のリスクになる理由②
→砂糖の入った飲み物は、食べ物よりもむし歯になりやすい
ポカリは砂糖が入った酸性の飲み物です。
ポカリを飲むとお口の中は、中性から酸性(歯が溶けやすい状態)になります。
食べ物は噛んで食べることで唾液が出て、
唾液が酸性に傾いた口腔内を中和してくれますが、飲み物を飲んだ後の唾液の分泌は少ないので
歯が溶けやすい状態が長く続きます。
おやすみポカリがむし歯のリスクになる理由③
→寝ている間は唾液の分泌が少ない
おやすみポカリキャンペーンは寝る前にポカリを飲むことをすすめています。
寝ている時は唾液の分泌が少なくなるので、
口腔内が酸性に傾いたままの状態が長く続いてしまいます。
◎ポカリを飲んだ後に歯磨きすればいい?
→ 歯磨きしたとしてもむし歯になりやすい口腔内には変わりはない
ポカリを飲んだ直後の口腔内は酸性で歯が溶けやすい状態なので、飲んだ直後の歯磨きは歯の表面を溶かすのを手伝ってしまうことになります。
しかも砂糖の入った飲み物を飲むと歯の溝など歯磨きで落とすのが難しいところにも砂糖水が入り込みます。飲んだ後に歯を磨けば問題ないということではありません。
◎歯科がすすめる脱水対策
→ 脱水の予防は3食の食事と水・麦茶
寝ている時に失う水分(汗)は薄い塩水であり、
砂糖水ではありません。脱水の予防に砂糖入りの
酸性のドリンクを飲む必要はありません。
軽い脱水には0.1から0.2%の塩水か
経口補水液(OS-1)をオススメします。